先日、久々にホールでソロ演奏をする機会がありました!
Oshamanbeの普段の演奏活動は伴奏がメインなので、コロナ禍の影響もあり大きな会場でソロ演奏をするのは久しぶりでした。
本番前のあの不安に満ちた緊張感は何年経っても嫌なもんだけど、人前で演奏するのはやっぱり楽しい!とあらためて実感しました。
ピアノのソロ演奏といえば、「暗譜」をして演奏するのが一般的なスタイルとして定着しています。
近年リサイタル等でも楽譜を見て演奏するピアニストが増えてきているようですが、まだまだ暗譜で演奏するスタイルが主流であることに変わりはないので、やはりピアノ弾きにとって暗譜は避けて通れない要素です。
自分自身の経験や発表会前の生徒さんを見ていてよく起きるのが、
「本番が近くなった時期に急に弾けていたところが弾けなくなる」
という現象です。
これは本当に焦りますよね💦
ある生徒さんは発表会前最後のレッスンに来る直前、自宅練習中に出来ていたはずの暗譜がすっ飛び、意気消沈状態でレッスンにいらしたこともありました…。
しかし、この現象は本番前の1つのルーティンとも考えることができます!
Oshamanbeが本番中暗譜が飛ばない為に大切と考えているのは、
「事前に想定されるミスをあぶり出す」
ことです。
本番直前の時期(およそ1、2週間前くらい?)というのは普段より緊張感をもって演奏しているので、普段家でリラックスして演奏している時とは精神状態が違います。
この状態で普段弾けていたのに暗譜が飛んでしまう箇所、間違えてしまう箇所というのは「練習が足りていない箇所」「本番で間違え得る箇所」ということになります。
本番直前というのは、普段なんとなく感覚や流れに任せて演奏していると気づけない「練習が足りない箇所」が露呈される時期なんです。
と言っても、弾けていない箇所が発覚するだけでは勿論何の解決にもなりません。
そこで大事な練習は、
「①部分練習」と「②ゆっくり練習」です。
①部分練習
暗譜練習で演奏した際に弾けなかった部分、不安になる部分を把握し、楽譜にチェックを入れていきます。
怪しい部分をピックアップし、自分の感覚が「OK」を出すまで集中的に部分練習を繰り返しましょう。
この際、片手ずつに分けて練習するのも効果的です。
大半の人は両手で弾く時の感覚で楽譜を覚えているので、より細かく音を頭に叩き込むことで本番中暗譜が飛ぶ確率を下げることができます。
特に左手の確認練習は大切です。
ピアノ曲は大半の場合右手がメロディを担っているので、多くの場合右手のメロディを頭にイメージしながら演奏しています。
一方で左手は右手に沿って覚えた気になって弾いていても、実は掘り下げていくとしっかり覚えきれていないということが多々あります。
通し練習だけでは、細かい部分にフォーカスした練習はできません。不安な部分をピックアップし、集中的に弾き込むことで暗譜をより確実なものにしましょう!
②ゆっくり練習
ゆっくり練習は本番直前のみならず常に大切な練習法ですが、本番前にすることもとても重要です。
ゆっくり練習が大切な理由は色々ありますが、その中から2つ挙げさせていただきます。
1つ目は、正確な打鍵の感覚をよりはっきりと頭に刻み込むためです。
テンポを落とすと、テンポ通りの演奏時よりも指の動きに意識が向くようになります。
感覚的に暗譜できていると思い込んでいても、テンポを落とすとどう弾いていたかわからなくなる、なんてことがあります。
これこそが「感覚や流れで覚えた気になっている」状態です。
この時点ではまだ脳がしっかり音を覚えきっていないので、このままの状態で本番に臨むのは非常に危険です。
正しい音をはっきりと打鍵し、正しい音や指使いの感覚を頭に刻み込むことを心がけて練習しましょう。
そして2つ目は、テンポを落とすことで頭を使って演奏することができるからです。
上述でも挙げたような「流れや感覚に頼って演奏する」ということができなくなります。
指使いはなんとなくで演奏していないか、強弱やアーティキュレーションはしっかり表現できているかなど、ゆっくり丁寧に確認しながら演奏していきます。メトロノームがあるとより効果的です。
特に指回りが忙しいパッセージや音の跳躍が激しい部分は要注意です。
これが暗譜の確実性を上げるだけでなく、演奏の質の向上にも繋がります。
(ちなみにOshamanbeはソロで演奏する際、直前はほぼ通し練習をせず、確認のゆっくり練習に練習の大部分をあてます。参考までに…!)
ということで今回は本番中に暗譜が飛ばないための練習法についてご紹介しました。
本番で100%の演奏をするというのは、プロでもなかなか難しいことです。
しかし暗譜の失敗が原因で本来練習してきたことが発揮できないのはなんとも悔しいものです。
暗譜が飛ぶ原因には技術的な問題だけでなく、本番中の緊張や心理状態が影響することも当然あります。
なのでこういう練習をしたら暗譜が飛ぶことは絶対ない!と言い切ることはできませんが、普段からしっかり考えて練習を重ねていると万が一のミスが起きた時も、そのミスを小さく見せることもできます。
皆さんが暗譜で演奏する機会があった際、練習の成果を存分に発揮して演奏をご披露されることを願っています!
何よりもっと気兼ねなく演奏会や発表会が開催されるよう、早く世の中が落ち着いてほしいものです…!